艶やかに鮮やかに

蒼い星の海翔けるグライド

社会人4年目が舞台『何者』を観た。

私は、周りと比べればほんの少しだけ内定が遅かった。*1

というのも、理系の大学であるが故、卒業研究のほうに時間を割かざるを得ず

12社くらいしか受けなかった。理系文系問わず、十分少ない方になるけれど。

ただ、私の周りが驚くほど他人の就活状況に興味がなかったため、

変なプレッシャーを受けること無くマイペースに就活が出来ていた。

幸運なことだと思う。多分。

 

そんな少し苦い記憶を掘り返しながら舞台『何者』を観ました。

Love-tuneの中から阿部顕嵐長妻怜央のふたりが出ているだけでめでたいのに

なんと顕嵐くんは主演。行かない理由がない。

 

感想としてはー…ほんと、5人が報われればいいなと思うばかりで。

誰だって拓人のようになりかねないし、

隆良のように思うこともあるだろうし、

瑞月ちゃんのように親御さんの制約を受けることもあるだろうし、

理香ちゃんのように自分がバカにされていることを痛感することもあるだろうし、

コータローのように勢いでどうにかなっちゃうこともある。

全員が全員、分かりすぎて怖い。そう思った。

それと同時に全員が全員愛しくてたまらなかったので、

少し長いけど全員についての所見を。お付き合いくださいませ。

 

拓人は、本当によくよく言葉を聞くと

ベンチャー疲れ、とかってあるらしいよ。』

『 よく出る質問をまとめるのは大事だと思う。』

って、「らしい」とか「思う」 って言い回しを多用するんですよね。

それって結局他人から借り受けた知識であって、自分のものではない。

多分、拓人って凄く頭が良いわけではない。かと言って悪いわけでもない。

ただ少しだけ、他人の言葉を借りて自分の力に見せかけるのが上手い人なんだと思う。

つまり『トランプのダウトが少し得意な人』で、

そこのボロがこの一連の件で全部剥がされてしまったように見えるかな、と。

あと、拓人は何者になりたいのかと言ったら、結果烏丸ギンジになりたいんじゃないかなあって。

サワ先輩からのDVDを受け取らなかったり、公演日程について返答をしなかったり

妬みは確実にあるんだろうなって思うけど、それ以上に憧れが強い気がする。

それを認めたくない気持ちと言うか、自分は自分でもなくギンジでもない何者かになれるような希望を捨てきれない。

でも最後、やっとギンジ君の公演観に行くって言ってましたね。

そこでやっと拓人の壁がひとつ壊せたのかなあって。

彼の内定の日を祈るしか無いです。どんなに遅くなってもいいから救われてくれ。

 

隆良はねえ…分かるよ。すげえ分かる。

みんな同じ格好して同じバッグ持って大人に頭下げて

自分からなりたくもない朱に交わっていくなんてな、馬鹿馬鹿しいよな。私もそう思うよ。

就活に疑問を持ってない人なんていないけど、到底そんなこと言えない。

それを言えちゃうのが隆良だなって。いい意味で空気が読めないのかも。

最初は感情を表に出さないというか、表情を作るのが苦手なのかなあと思ってたんですが

ある日の公演で、コータローの酒臭さに大きなリアクションをしていたり、

理香ちゃんとのコンビニの道中ですごく寒がっていたりしたので、実はそうでもないのも。

『感情をフラットにしたほうがクリエイターらしい』っていう彼の信念から来るもののような気がするなあ。

実際はもう少し笑ってくれる子のような気がした。嫌がられそうだけど。

あの時ギンジとのコラボを破談にしてしまったけど、瑞月ちゃんの話の後、なんとなく

コラボの話を再開してくれそうな気がします。

それをみんなで観に行ってたりしたらいいなあ。

 

コータロー、彼の存在で救われた人、沢山いると思う。

というか理香ちゃん以外全員救われてると思う。

隆良と違った意味でまた空気の読めない人だけど憎めない。

実力とか正直全然無いしハッタリだけど、本人がそれを隠そうとしないから好感が持てる。

大学時代の青春を絵に描いたような人。

飲みつぶれて友達の家で粗相したり、オールしたり、

拓人に頼んで講義のノート写させてもらったり、単位下さいって教授に土下座したり。

きっと充実して、笑顔の絶えない大学生活してきたんだろうなあ。いいなあ。

実は私の知り合いにコータローそっくりの性格の方がいるんですけど、

本当に彼の周りには人が集まってくるし、みんな笑顔で話してる。

コータローが社会人になってもきっとそんな感じなんだろうなって。

私も彼と一緒に働いてみたいなって思ってしまった。

理香ちゃんは少しイラついたように彼を評価していたけど、

内定が取れない焦りから来るもので、別に根本的に嫌な奴とは思っていない気がする。

その辺もわだかまりが解消されると嬉しい。そうあってくれ。

 

瑞月ちゃん。ほんともう幸せになって。お願いだから。

「コータローは自分の中にドラマを見つけている」って言ってるけど、

瑞月ちゃんもヒロインなんだよ…!君の幸せまだまだこれからだよ!!って叫びたくなる。ババアだからでしょうか。

親御さんのこともしっかり理解してて、でもどうにもならなくて、自分もドラマを見つけたくてって

思っているのが悔しくて寂しくて。幸せになってくれ。

自分のことを同じ角度で同じように見てくれる人はもう誰もいない、

他人の目線の先に自分を置かないと誰も見てくれない

これは何回聞いても辛かったです。もう、泣きそう。

毎回胸を抉られる思いで聞いてました。

待ってるばかりじゃもう助けてもらえないんだよな。就活ってその入口なのかもしれない。

否応なしに自分が社会に放り出される苦しさが凝縮されている…つらい。

 

理香ちゃん。下手したら5人の中では一番不器用なのかなあ。要領悪そう。

それでも、海外ボランティアも、留学も、全部に対して真面目にちゃんとやってきたし

ちゃんと誇れるものがあるし、他人にプレゼンできる自信もそれ相応にある。

でも、その反面自分が所謂「意識高い系」って疎まれてる事も分かってて、

その狭間で苦しんでる感じ。

もしかしたらコータローの言う通り本当に友達いなくなっちゃったのかもしれないなって。

だから下手にいい意味で空気読めない隆良が救いになったのかもしれない。

なんか、意外と理香ちゃんと隆良ってちゃんと恋人だなって思いました。

意識高いことに抵抗が無い(というか気にしてない)隆良と、

それに対して(意識的か無意識的か分からないけど)気を許していく理香ちゃん。

最後のシーンで理香ちゃんの涙に目を見開いた隆良に、理香ちゃんを思う気持ちが見えたり。

ふたりとも不器用なだけなんだろうなあ。年相応の可愛いカップルだったなあ。 

 

 サワ先輩の言っていた「その先にいるその人自身をちゃんと想像してあげろよ」というくだり、

これ就活だけじゃなく普段からもそうだなと。

Twitterだけでなく、LINEやらInstagramやら、文字で会話出来る機会が増えすぎて

どうも希薄になりがちですよね。相手も人間なんだという当たり前の事実。

私も職業柄メールばっかの人間なんですけど、

プライベートでは出来る限り直接言葉を交わせるようにしたいなと改めて思い直しましたね。

ギンジと隆良の違い、あれ難しいですね。強いて言うなら情熱が透けて見えるかどうかなのかなあ…

なんとなく隆良は情熱とかを否定しがちな気がする。なんとなく。

 

 

ここは顕嵐くんの話になってしまうんだけど、とにかく最後のダンスが圧巻すぎる。

Travis JapanでもLove-tuneでも無い、阿部顕嵐としてのダンスでしたね。

TAKAHIRO氏はA.B.C-Zの『テレパシーOne!Two!』でお世話になっているので存じてはいたのですが、

ここまで凄いことになろうとは。どちらかというと欅坂46寄りのコンテンポラリーダンスですよね。

最終的にステージの奥に落ちて、無音で這い上がってくるのが怖くて怖くて。

あのダンスの中にも一部、バレエのような綺麗な姿勢のダンスが入っていたりするのは

拓人の葛藤なのだろうか、見栄なのだろうか。

マジで阿部顕嵐ってただもんじゃねえな…っていう素直な感想。

 

長妻くんも大変素晴らしい役者でして。アイドルではなくて俳優としてそこにいた。

元々、『5→9 5時から9時まで』 の蜂屋蓮司役で彼の俳優ポテンシャルの高さは

身にしみて分かっていたので、演技をナマで見られたのは本当に嬉しい。

長妻くん、A.B.C-Zの橋本くんと同じ演じ方なんですよ。憑依型というか。

劇中、隆良が眼鏡を外すシーンがあるんですけど。

眼鏡外したら長妻怜央になるのか?と思ったら全然違うんですよ。宮本隆良なんですよ。

本当に隆良なんだ…シンクロしているんだ…と、とてつもなく感動を覚えてしまって。

演出の丸尾丸一郎氏も『長妻くんはギフト(才能)を持っている』と評して下さってて、

もっともっと観たいですね。彼の演技。

個人的には、それこそ橋本くんが演じた『コインロッカー・ベイビーズ』のハシのような、

無邪気のようで残酷な、ちょっと現実離れした狂った役が欲しいです。

間違いなくとんでもないことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

見終わって半月以上経っているのにどこか心がギュッと握られている感覚。

この感覚は戸塚くんのDefiled以来かもしれない。

小説も、アナザーストーリーの『何様』も購入したので、まだまだ浸っていられそう。

また観たいなあ、という希望を込めて。素晴らしい舞台でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:大学3年の10月に就職サイトオープン、翌年4月に就活本格解禁の年で、私自身は7月に内定が出た